自民党総裁選の決選投票とは?2025年の185対156票と2026年制度を徹底解説
2026年10月現在、自民党総裁選の決選投票を理解するうえで欠かせない実例が、2025年10月4日に行われた高市早苗氏と小泉進次郎氏の対決だ。最終結果は高市氏185票、小泉氏156票。わずか29票差で高市氏が第29代自民党総裁に選出された。
この結果を読み解くポイントは、1回目の投票と決選投票では票の構成が大きく変わることにある。1回目は国会議員票295票と党員算定票295票の合計590票で争う一方、決選投票では党員による直接投票がなくなり、国会議員票295票と都道府県票47票の合計342票で勝敗を決める。つまり、決選投票では国会議員の判断が結果を大きく左右する仕組みだ。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 決選投票の仕組み:1回目で過半数を獲得した候補者がいない場合、上位2人が国会議員票295票と都道府県票47票で争う。
- 2025年の結果:高市早苗氏185票(議員票149・都道府県票36)、小泉進次郎氏156票(議員票145・都道府県票11)だった。
- 勝敗を分けた要因:議員票の差は4票だった一方、都道府県票では高市氏が25票上回った。
- 2026年の注目点:党員の意見をより反映するため、総裁公選規程の見直しや決選投票の党員票比重が議論されている。
【まず結論】自民党総裁選の決選投票とは?2025年の結果を整理
自民党総裁選の決選投票とは、1回目の投票で候補者の誰も過半数を獲得できなかった場合に、得票上位2人に絞って行う最終投票のことだ。
総裁公選規程に基づく通常の選出方式では、1回目の投票で国会議員と党員・党友の意思を反映させる。しかし、決選投票では投票方式が切り替わり、国会議員と各都道府県連が持つ票によって新総裁を決定する。
2025年10月4日に高市早苗氏が第29代総裁に選出
2025年の総裁選は、石破茂総裁の退陣表明を受けて実施された。9月22日に告示され、10月4日に投開票。立候補したのは、小林鷹之氏、茂木敏充氏、林芳正氏、高市早苗氏、小泉進次郎氏の5人だった。
1回目の投票では高市氏が183票で首位、小泉氏が164票で2位となった。しかし、いずれも過半数には届かず、両者による決選投票に進んだ。
決選投票の結果、高市氏が185票、小泉氏が156票を獲得。高市氏が29票差で勝利し、自民党結党70年で初めての女性総裁となった。
自民党の2025年10月4日付公式発表でも、この結果と両候補の票数が公表されている。
総裁選で勝つことと首相に選ばれることは別の手続き
ここで押さえておきたいのが、自民党総裁選は政党内部の代表選挙であり、国政選挙とは異なるという点だ。
総裁に選ばれた人物が、そのまま自動的に内閣総理大臣になるわけではない。首相は国会の首班指名選挙によって選ばれる。ただし、自民党が政権を担っている場合、総裁選の結果が次の首相を決める重要な局面につながる。
【決選投票の仕組み】国会議員票295票と都道府県連票47票の違い
2025年の自民党総裁選を理解するには、1回目と決選投票の票数を分けて考える必要がある。
1回目は議員票と党員算定票が同数であるのに対し、決選投票では議員票が圧倒的に多くなる。これが、最終局面で候補者の優劣が変わる大きな理由の一つだ。
1回目の投票は合計590票
2025年の1回目の投票は、次の2種類の票で構成されていた。
- 国会議員票295票:自民党所属の衆議院議員195人と参議院議員100人が、それぞれ1票を投じる。
- 党員算定票295票:全国の党員・党友による投票を集計し、ドント方式で295票に換算する。
両者を合わせた基本の投票枠は590票。各候補者は議員票と党員算定票を合算した得票数を競い、過半数を獲得すれば当選となる。
複数候補が立候補して票が分散した場合、トップでも過半数に達しないことがある。その場合は、上位2人による決選投票へ移る。
決選投票は合計342票
決選投票では、1回目の党員投票に代わり、47都道府県連の代表による都道府県票が加わる。
- 国会議員票295票:党所属の国会議員が1人1票を投じる。
- 都道府県票47票:47都道府県の各連が1票ずつ持つ。
合計は342票となる。国会議員票が全体の約86.3%を占め、都道府県票は約13.7%だ。
ここで重要なのは、都道府県票が各県の党員数に応じて複数配分されるわけではないこと。各都道府県連が1票ずつ持ち、その県の党員投票で上位2候補のうち得票が多かった候補者に票を投じる仕組みだ。
したがって、党員数が多い東京都も、党員数が比較的少ない県も、決選投票での都道府県票は原則として同じ1票となる。
【党員票と議員票の違い】ドント方式による票の配分を解説
自民党総裁選で混同されやすいのが、党員票と都道府県票の違いだ。名前が似ているものの、実際には別の仕組みである。
党員票は実際の投票数を295票に換算する
党員・党友は、総裁選の投票資格を満たしたうえで、支持する候補者に投票する。2025年の選挙では、党員投票の結果をもとに、国会議員票と同数となる295票を候補者に配分した。
ここで使用されるのがドント方式だ。
ドント方式とは、候補者ごとの得票数を1、2、3、4といった整数で順番に割り、その商の大きい順に票を割り当てていく比例配分方式である。
例えば、候補者Aが1万票、候補者Bが6000票を獲得したとする。それぞれの得票を1、2、3と割り、計算結果の大きい順に配分枠を割り振ることで、実際の得票状況を算定票に反映させる。
この方法によって、党員の投票結果を国会議員票と同じ規模の票数に変換し、1回目の総裁選に反映させる。
決選投票ではドント方式を使わない
ここが最も大きな誤解の一つだ。
ドント方式は1回目の党員投票を算定するための方法であり、決選投票の47都道府県票を配分するために使うわけではない。
決選投票では、各都道府県の党員投票で上位2人のうち多くの票を得た候補者が、その県の都道府県票1票を獲得する。
例えば、ある県で高市氏が党員票を獲得し、小泉氏を上回った場合、その県の都道府県票は高市氏に入る。得票差が数百票でも数万票でも、決選投票における県の持ち票は1票だ。
つまり、1回目は全国の党員・党友の支持を票数に換算する比例的な仕組み、決選投票は各県の勝者を積み上げる仕組みという違いがある。
【2025年の決選投票結果を徹底検証】高市氏185票・小泉氏156票の内訳
2025年の決選投票で、最も注目すべきなのは単純な総得票数だけではない。議員票と都道府県票を分解すると、どの票が勝敗を左右したのかが見えてくる。
1回目と決選投票の得票比較
| 投票区分 | 高市早苗氏 | 小泉進次郎氏 | 結果のポイント |
|---|---|---|---|
| 1回目・議員票 | 64票 | 80票 | 小泉氏が16票リード |
| 1回目・党員算定票 | 119票 | 84票 | 高市氏が35票リード |
| 1回目・合計 | 183票 | 164票 | 高市氏が19票リード |
| 決選・国会議員票 | 149票 | 145票 | 高市氏が4票リード |
| 決選・都道府県票 | 36票 | 11票 | 高市氏が25票リード |
| 決選・合計 | 185票 | 156票 | 高市氏が29票差で勝利 |
出典:自由民主党「令和7年総裁選挙結果」。
勝敗を分けたのは都道府県票の25票差
数字を比較すると、決選投票における高市氏の優位は明確だ。
国会議員票は高市氏149票、小泉氏145票。差はわずか4票にとどまった。一方、都道府県票では高市氏36票、小泉氏11票で、その差は25票に達した。
つまり、最終的な29票差のうち、25票分は都道府県票の差によって生まれている。
1回目の投票では小泉氏が議員票で優位だったが、党員算定票では高市氏が大きく上回っていた。この地方での支持の広がりが、決選投票における都道府県票36票という結果にも表れた。
高市氏は36都道府県、小泉氏は11都道府県で優位
自民党が公表した都道府県別の党員投票結果では、高市氏の得票は合計250,931票、小泉氏は179,130票だった。
都道府県別に見ると、高市氏が上回ったのは36都道府県、小泉氏が上回ったのは11都道府県である。
この結果が、決選投票における36対11の都道府県票につながった。
注目したいのは、地方票が単なる全国得票数の再集計ではない点だ。県ごとの勝敗を1票に置き換えるため、広い地域で安定して支持を得た候補者が有利になる。
高市氏の勝利は、議員票だけで決まったものではない。党員・党友の支持が各県の票に反映され、最後の29票差を生み出した結果だった。
1回目で負けた議員票を決選投票で逆転できた理由
もう一つ興味深いのが、国会議員票の変化だ。
1回目では小泉氏が80票、高市氏が64票だった。しかし、決選投票では高市氏149票、小泉氏145票となり、立場が逆転している。
決選投票では、1回目で敗退した林芳正氏、小林鷹之氏、茂木敏充氏の支持者が、残った2候補のどちらかに投票することになる。
1回目の議員票から決選投票への増加分は、高市氏が85票、小泉氏が65票だった。ただし、投票は秘密であり、個々の議員がどの候補から移ったのかを得票数だけで特定することはできない。
それでも、候補者を2人に絞った段階で支持の再編が起き、1回目の議員票の順位がそのまま維持されなかったことは数字から確認できる。
【歴代自民党総裁選の決選投票】2012年・2021年・2024年との比較
自民党総裁選では、1回目の投票で最も多くの票を獲得した候補者が、必ずしも総裁になれるわけではない。過去の決選投票を振り返ると、党員票と議員票のバランスが勝敗を左右してきた。
2012年:石破氏が1回目トップも安倍氏が逆転
2012年9月の総裁選では、1回目の投票で石破茂氏が199票を獲得し、安倍晋三氏の141票を上回った。
しかし、決選投票では安倍氏が108票、石破氏が89票となり、安倍氏が逆転して総裁に選出された。
1回目で党員から多くの支持を得ても、決選投票では議員の判断や候補者間の支持関係が異なる結果を生み出すことを示した事例だ。
2021年:岸田氏と河野氏の接戦から決選投票へ
2021年9月の総裁選では、1回目の投票で岸田文雄氏が256票、河野太郎氏が255票を獲得。わずか1票差で岸田氏が首位となった。
しかし、決選投票では岸田氏が257票、河野氏が170票となり、岸田氏が勝利した。
内訳を見ると、岸田氏は議員票249票、都道府県票8票。河野氏は議員票131票、都道府県票39票だった。議員票での大きな差が勝敗を決めた形だ。
2024年:高市氏が1回目トップから石破氏に逆転負け
2024年9月の総裁選は、2025年の決選投票を理解するうえでも重要だ。
1回目の投票では高市氏が181票、石破氏が154票で、高市氏が首位だった。しかし、決選投票では石破氏が215票、高市氏が194票を獲得し、石破氏が逆転勝利した。
このときの内訳は、石破氏が議員票189票・都道府県票26票、高市氏が議員票173票・都道府県票21票だった。
高市氏は2024年には決選投票で敗れ、翌2025年には同じ決選投票を制したことになる。
歴代の結果から分かるのは、1回目の得票順位だけで最終的な勝敗を予測することはできないということだ。決選投票では、候補者の絞り込みによって議員票の動きが変化し、地方票の配分も結果に影響する。
【2026年最新】自民党総裁選制度の改正論点と今後の注目点
2026年の自民党総裁選制度を考えるうえで重要なのが、2025年の決選投票を受けた制度改革の動きだ。
2025年に実施された総裁選の票数を、そのまま将来の総裁選にも適用される確定的なルールとして捉えるのは早い。自民党は党員の意見をより反映するため、総裁公選規程の見直しを政策課題に掲げている。
2025年の制度では党員票が決選投票に直接加わらない
2025年の総裁選は、石破氏が任期途中で退陣を表明したことに伴う臨時の選挙だった。
自民党には、総裁が任期途中で欠けた場合に、総裁公選規程による選出を行う方法と、緊急時に党大会に代わる両院議員総会で選出する方法がある。
2025年は党員・党友も参加する総裁公選規程に基づく方式が選択された。任期途中の選出であっても、1回目の投票では国会議員票と党員算定票を同数とする形式が採用された。
ただし、決選投票では党員が再び直接投票するわけではない。この点が、党員の意見をどこまで最終判断に反映させるべきかという制度上の議論につながっている。
2026年3月、青年局が党員票の比重引き上げを提言
2026年3月18日、自民党青年局は鈴木俊一幹事長ら党幹部に対し、党運営に関する提言を提出した。
総裁選制度について盛り込まれた主な内容は次の2点だ。
- 投票資格の年齢引き下げ:原則20歳以上となっている党員などの投票資格を18歳以上に引き下げること。
- 決選投票の党員票比重の引き上げ:決選投票でも党員の意思がより反映されるよう、党員票の比重を増やす議論を進めること。
TBS NEWS DIGが2026年3月18日に報じた内容によると、これは青年局から執行部への提言であり、制度変更の決定を意味するものではない。
自民党の2026年政策集も総裁公選規程の改定を掲げる
自民党の2026年版政策集「Jファイル2026」でも、これまでの総裁選挙を踏まえ、党員の意見が反映された総裁公選のあり方を検討し、必要な総裁公選規程を改定する方針が記載されている。
したがって、2026年の制度を考えるうえでは、次の3つを区別する必要がある。
- 既存の実施例:2025年は議員票295票と党員算定票295票で1回目を実施し、決選投票では議員票295票と都道府県票47票を採用した。
- 改革の方向性:党員の意見をより反映するため、決選投票の党員票比重や投票資格年齢の見直しが提起されている。
- 今後確認すべき事項:新しい総裁公選規程の正式な改正内容、票数の配分、施行時期。
2026年10月時点で、具体的な新配点や施行日を示す改正内容は、党の2026年政策ページでは明らかにされていない。2025年版の実施要領が、具体的な票数を把握するための直近の公表資料となっている。
次回の総裁選はいつ?任期と前倒しの可能性
総裁の通常任期は3年だが、2025年の高市氏の選出は石破氏の任期途中の退任に伴うものだった。そのため、高市氏の任期は新たに3年間が始まったのではなく、前総裁の残任期間を引き継ぐ形となっている。
任期満了に伴う次の総裁選は2027年9月ごろが一つの目安となる。ただし、具体的な投開票日が確定しているわけではなく、党内情勢による前倒しなどもあり得る。
次回の総裁選を追う際は、候補者の支持率だけでなく、次のポイントを確認したい。
- 総裁公選規程の改正が正式に決まったか。
- 決選投票で党員票の比重が増えるか。
- 都道府県票47票の配分方法が変更されるか。
- 党員・党友の投票資格年齢が18歳に引き下げられるか。
- 1回目と決選投票の両方で党員の意思を反映する仕組みになるか。
こうした変更が実現すれば、2025年の高市氏と小泉氏の決選投票とは、勝敗を左右する要素が変わる可能性がある。
【自民党総裁選の決選投票】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:自民党総裁選の決選投票では党員も投票できる?
A1:2025年の方式では、党員・党友による2回目の直接投票は行われない。ただし、1回目の党員投票結果は各都道府県の勝者を決める基準となり、47都道府県票を通じて決選投票に反映される。
Q2:ドント方式は決選投票でも使われる?
A2:使われない。ドント方式は1回目の党員投票を国会議員数と同じ規模の党員算定票に換算するための方法。決選投票では各都道府県で党員票を多く獲得した候補者に、その県の1票が与えられる。
Q3:2026年も決選投票は295票対47票の仕組みなの?
A3:2025年の実施方式では295議員票と47都道府県票だった。一方、2026年には党員票の比重を増やす提言や総裁公選規程の見直し方針が示されている。次回の選挙では、その時点で正式に施行されている規程と実施細則を確認する必要がある。
まとめ:自民党総裁選の決選投票は地方票と議員票の両方が鍵
自民党総裁選の決選投票は、単純に1回目の得票数を引き継ぐ仕組みではない。1回目は国会議員票と党員算定票を同数で扱う一方、決選投票では国会議員票295票と都道府県票47票に切り替わる。
2025年10月4日の高市早苗氏と小泉進次郎氏の対決では、高市氏が185票、小泉氏が156票を獲得した。議員票の差は4票だったが、都道府県票では25票の差が生じ、これが最終的な勝敗を決定づけた。
この事例から分かるのは、総裁選を正しく読み解くには、1回目の総得票数だけでなく、党員票の強さ、都道府県別の支持の広がり、決選投票における議員票の動きを分けて見る必要があるということだ。
さらに2026年は、党員の意見をどこまで決選投票に反映するかという制度改革が重要なテーマになっている。2025年の185対156という結果を理解したうえで、次回の総裁選では票の配分ルールそのものがどう変わるのかにも注目したい。
【プロの結論】自民党総裁選の勝敗を見極める際は、①1回目の議員票と党員算定票、②各都道府県の党員支持、③決選投票での議員票の再編、④最新の総裁公選規程という4つの判断材料を確認することが重要だ。候補者の人気や1回目の順位だけでは、最終的な総裁選の結果は予測できない。