右翼団体とは何か?思想・歴史・街宣活動から暴力団との関係まで2026年最新解説
右翼団体とは、日本の伝統や国家のあり方、天皇制、領土問題、歴史認識などについて、国家主義・民族主義・保守主義的な思想を掲げて政治的な主張や社会運動を行う団体の総称です。街宣車による街頭宣伝、政府や外国公館への抗議活動、集会、デモ、機関紙の発行など、その活動は幅広く、団体によって思想や組織の成り立ちも異なります。
2026年現在、警察庁の警察白書や警備関係資料、公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望(令和8年版)」を見ると、右翼団体の歴史的な系譜に加え、暴力団との関係が指摘される組織、民族派の思想を受け継ぐ団体、右派系市民グループなど、複数の勢力が活動していることが分かります。違法行為の検挙状況や2026年の街頭活動も踏まえ、右翼団体の実態、一般的な保守団体との違い、警察の対応まで詳しく解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】 - 要点1: 右翼団体とは、国家主義や民族主義などの思想を掲げて政治的・社会的活動を行う組織の総称であり、すべてが同じ思想や性格を持つわけではない。 - 要点2: 主な活動は街宣車による宣伝、抗議活動、集会、デモなど。組織によっては暴力団との関係や違法な資金獲得行為も問題になっている。 - 要点3: 警察庁の2025年の統計では、右翼運動に伴う事件の検挙は60件85人。2026年も公安調査庁が街頭活動などの動向を公表している。
【基礎知識】右翼団体とは?定義・思想・目的を分かりやすく解説
右翼団体の定義と意味
右翼団体とは、一般的に、日本の国家や社会のあり方について右派的な政治思想を掲げ、継続的に政治活動や社会運動を行う組織を指します。
「右翼」という言葉は、フランス革命期の議会で保守的な立場の議員が議長席から見て右側に座ったことに由来するとされています。現在では、保守主義、国家主義、民族主義、伝統主義など、さまざまな政治的立場を表す言葉として使われています。
ただし、政治思想としての右翼と、日本で一般に「右翼団体」と呼ばれる組織は、必ずしも同じ意味ではありません。
例えば、次のような人や組織は、それぞれ区別して考える必要があります。
- 保守的な政策を支持する政治家
- 憲法改正や伝統文化の保護を求める市民団体
- 民族派の思想を掲げる政治団体
- 街宣活動や抗議行動を中心とする右翼団体
- 暴力団との関係が指摘される右翼標榜団体
右翼団体という呼称には、すべての組織に共通する単一の法的な登録基準があるわけではありません。警察や公安調査庁は、組織の思想、活動内容、構成、関係性などを踏まえて実態を把握しています。
右翼団体が掲げる主な思想
右翼団体の思想は一枚岩ではありませんが、代表的な主張には次のようなものがあります。
1.国家主義・民族主義
国家の独立や主権を重視し、日本の歴史、文化、伝統を守ることを主張する立場です。
外国からの政治的・経済的影響に批判的な団体もあり、外交問題や安全保障問題を活動の中心に据えることがあります。
2.皇室・天皇制の擁護
皇室や天皇制を日本の歴史的・文化的な基盤として重視する思想です。
戦前の皇道主義の系譜を引き継ぐ団体では、皇室の伝統や国家観を活動理念として掲げる場合があります。
3.反共主義・反左翼思想
共産主義や社会主義に反対し、左派系の政治運動や政策を批判する立場です。
戦後日本の右翼運動では、反共主義が重要な思想的要素の一つとなってきました。
4.憲法改正・自主憲法制定
現行憲法の改正や、自主的な憲法制定を求める主張です。
特に憲法9条、安全保障、自衛隊の位置付けなどが論点となります。
ただし、憲法改正を支持すること自体は一般的な政治的意見であり、それだけで右翼団体に所属していることを意味しません。
右翼団体が活動する目的
右翼団体の目的は、思想を社会に広め、政府や世論に影響を与え、自らが理想とする国家や社会の実現を目指すことにあります。
具体的には、次のような目的が挙げられます。
- 日本の主権や領土問題について政府に対応を求める
- 歴史認識や外交政策に関する主張を広める
- 皇室や伝統文化の保護を訴える
- 憲法改正や安全保障政策の変更を求める
- 外国政府や外国公館に対して抗議する
- 自らの政治思想や歴史観を次世代に継承する
重要なのは、こうした政治的主張の内容と、それを実現するための活動手段は別の問題だという点です。
政治的な意見を表明することと、暴力や脅迫によって他者に主張を押し付けることは明確に区別されます。
【歴史と成り立ち】右翼団体はいつ誕生した?明治から2026年までの変遷
日本の右翼団体の歴史は、明治時代にまでさかのぼります。現在活動している団体も、戦前の国家主義的な運動、戦後の反共運動、民族派学生運動など、異なる歴史的背景を持っています。
明治時代:玄洋社を源流とする右翼運動
日本の近代右翼運動の源流として知られるのが、1881年(明治14年)に結成された玄洋社です。
玄洋社は頭山満らが関わった国家主義的な団体で、皇室の擁護、国家への愛着、国民の権利などを掲げました。
当時は政府の欧化政策や社会主義思想などに反発する動きがあり、国家や民族の独立を重視する政治運動が形成されていきました。
その後、大正時代から昭和初期にかけて、国家改造や政治改革を主張する団体が相次いで誕生します。
昭和初期:政治運動の過激化と右翼テロ
昭和初期には、政治や経済の混乱、軍部の台頭、国際情勢の変化などを背景に、右翼運動の一部が過激化しました。
一部の団体や関係者は、政治的な主張を実現するために暴力を用い、暗殺や襲撃などの事件を引き起こしました。
五・一五事件や二・二六事件など、昭和初期の政治的暴力と右翼思想・国家改造運動との関係は、日本の近代政治史を考えるうえで重要な問題です。
ただし、これらの事件に関与した人物や組織を、現在の右翼団体全体と同一視することはできません。
戦後:GHQによる解散と右翼団体の再建
1945年の敗戦後、日本の政治・社会制度は大きく変化しました。
連合国軍総司令部(GHQ)の占領政策によって、右翼団体の多くが解散させられ、指導者も公職追放などの措置を受けました。
警察関係の歴史資料によれば、占領期には200を超える右翼団体に解散命令が出されました。
その後、占領政策の転換や公職追放の解除などを背景に、解散した団体の再建が進みます。反共主義を掲げる団体も増え、戦後の右翼運動が再形成されていきました。
1960年代〜1970年代:行動右翼と新右翼の登場
1960年代には、安保闘争や学生運動の活発化を背景に、街頭宣伝車を利用して政治的な主張を訴える行動右翼が存在感を強めました。
また、民族派学生運動を源流とする団体も登場します。
公安調査庁の令和8年版資料では、昭和40年代の民族派学生運動を背景に形成された団体を「新右翼」として整理しています。
新右翼には、戦後体制の見直しや反米・反安保を主張し、学習会、集会、デモ、街宣活動などを行う団体があります。
さらに1970年代以降は、資金や人脈を求める右翼団体の一部が暴力団と関係を持つようになったと、同庁は説明しています。
平成から令和:外交問題・領土問題を中心とする活動
平成以降の右翼団体は、北朝鮮、中国、韓国、ロシアなどをめぐる外交・安全保障問題を取り上げ、抗議活動や街頭宣伝を行ってきました。
具体的なテーマとしては、次のようなものがあります。
- 北方領土問題
- 尖閣諸島問題
- 竹島問題
- 北朝鮮によるミサイル発射や拉致問題
- 歴史認識問題
- 靖国神社をめぐる問題
2026年版の公安調査庁資料では、右翼団体の歴史的な系譜と現在の活動形態を整理し、団体によって思想や組織構造、活動方法が異なることを示しています。
【活動内容と2026年の実態】右翼団体は何をしている?街宣車・抗議活動の現状
右翼団体の活動として、一般の人が目にする機会が多いのが街宣車による街頭宣伝です。
しかし、実際の活動は街宣だけではありません。団体の性格によって、政治活動、歴史研究、慰霊行事、機関紙の発行、集会なども行われています。
右翼団体の代表的な活動内容
街頭宣伝活動
街宣車に拡声機を取り付け、道路沿いや駅周辺などで政治的な主張を訴える活動です。
領土問題、外交政策、歴史認識、政府の対応などを取り上げることが多く、団体名や主張を車体に表示する場合もあります。
外国公館への抗議活動
中国、韓国、ロシアなどの外交問題をめぐり、大使館や総領事館周辺で抗議活動を行うことがあります。
デモ・集会
政治的な主張を広く社会に伝えるため、集会やデモ行進を実施します。
慰霊・顕彰活動
戦没者や歴史上の人物を追悼する行事、神社への参拝、慰霊祭などを行う団体もあります。
機関紙・出版活動
政治思想や歴史認識を広めるため、機関紙や機関誌の発行、講演会、勉強会などを実施する場合があります。
右翼団体の街宣車とは?黒い車両の特徴と活動の実態
街宣車は、右翼団体の活動を象徴する存在として知られています。
一般的には、次のような特徴があります。
- 車体に団体名や政治的な主張を表示している
- 車両の上部などに拡声機を設置している
- 日の丸などの旗を掲げている場合がある
- 政治的な記念日や外交問題に合わせて活動する
- 特定の施設や企業、団体の周辺で抗議活動を行うことがある
ただし、黒い車両や日の丸を掲げた車両が、すべて右翼団体の街宣車というわけではありません。
また、街宣活動そのものが直ちに違法になるわけでもありません。
道路上で行う活動については、道路交通法に基づく道路使用許可が必要になる場合があり、騒音や威力を伴う行為についても、内容や状況に応じて関係法令が適用されます。
2026年の右翼団体の活動動向
公安調査庁が公表している2026年の月次資料からは、右翼団体が国内外の政治・外交問題や歴史的な記念日に反応して活動している実態が確認できます。
2026年に確認された主な活動
- 2月7日: 北方領土の日に合わせ、全国各地で北方領土返還を訴える街宣活動。
- 2月11日: 建国記念の日に合わせ、紀元節を奉祝する街宣活動や神社参拝。
- 5月3日: 憲法記念日に合わせ、自主憲法制定を訴える街宣活動。
- 8月6日〜9日: 原爆の日に合わせ、米国による原爆投下を批判する街宣活動。
- 8月15日: 終戦の日に合わせ、靖国神社や護国神社への参拝、戦没者慰霊祭への参列など。
- 8月21日〜23日: 愛知県で開催された教育関係労働組合の全国集会に対する抗議活動。
- 9月29日: 反中共デーと称した在日中国公館への抗議活動。
これらは公安調査庁が公表した活動記録に基づくもので、すべての右翼団体が同じ活動をしているわけではありません。
公安調査庁が指摘する思想継承と活動上の懸念
2026年版の「内外情勢の回顧と展望」には、右翼団体の歴史的な事件を顕彰・追悼する活動についても記載があります。
同庁は、一部の団体について、過去の政治的暴力事件の関係者を顕彰する行事や講演会を開催していること、若い構成員の精神的な結束を目的として軍人勅諭の暗唱や旧日本軍の銃剣術を取り入れた訓練を実施していることなどを紹介しています。
こうした活動は、団体内部で思想や歴史観を継承する仕組みを理解するうえで重要な情報です。
一方、これは公安調査庁が指摘する一部団体の実態であり、すべての右翼団体が同じ活動を行っているという意味ではありません。
【組織の違いを比較】右翼団体と右派系市民グループ・保守団体は何が違う?
右翼団体について調べる際に混同されやすいのが、右派系市民グループや一般的な保守系市民団体との違いです。
これらは政治的な主張が重なる場合がありますが、組織の成り立ちや活動形態は異なります。
右翼団体と右派系市民グループの違い
警察庁は、警察白書の「右翼等の動向と対策」において、右翼団体と右派系市民グループを別の項目で扱っています。
右派系市民グループについては、極端な民族主義や排外主義的な主張に基づいて活動するグループとして説明しています。
両者の違いを整理すると、次のようになります。
| 分類 | 組織の特徴 | 主な活動 | 見分けるポイント |
|---|---|---|---|
| 非暴力団系右翼団体 | 戦前の右翼運動の系譜を引く団体など | 街宣、神事、学習会、機関紙発行 | 歴史的な思想や組織の継承 |
| 暴力団系右翼団体 | 暴力団が結成や運営に関与する団体 | 街宣、勢力の誇示など | 暴力団との組織的関係 |
| 新右翼 | 民族派学生運動を源流とする団体 | 学習会、集会、デモ、街宣 | 戦後体制の見直しや反米・反安保 |
| 右派系市民グループ | 極端な民族主義・排外主義的主張を掲げるグループ | デモ、街頭宣伝、抗議活動 | 特定の社会・外交問題をめぐる活動 |
| 一般的な保守系市民団体 | 保守的な政策や価値観を支持する団体 | 政策提言、署名、講演会、政治参加 | 保守的な主張だけでは右翼団体とは判断できない |
※分類は公安調査庁の令和8年版資料や警察庁の公表資料を参考に整理したものです。
右派系市民グループは右翼団体と同じなのか
両者には共通する政治的主張が見られることがありますが、必ずしも同一の組織ではありません。
右翼団体には、長年の組織的な系譜や独自の思想体系を持つ団体があります。
一方、右派系市民グループは、特定の外交問題や移民政策、歴史認識などをきっかけに活動するグループもあり、組織の成り立ちや継続性はさまざまです。
警察庁の資料によると、右派系市民グループによるデモは、2016年に約40件、2017年に約50件、2018年に約30件でした。2019年以降は年間約10〜20件で推移しています。
2025年についても全国で約20件のデモが確認されています。
ただし、これらは警察が把握したデモの件数であり、街頭宣伝活動や集会のすべてを網羅した数字ではありません。
保守派の政治活動と右翼団体を混同しない
ここは特に注意したいポイントです。
保守的な政治思想を持っていることと、右翼団体に所属していることは別です。
例えば、次のような活動は、それだけで右翼団体の活動とは判断できません。
- 憲法改正を求める署名活動
- 日本の伝統文化を守る運動
- 外交政策や安全保障政策への批判
- 外国人受け入れ政策についての議論
- 保守系政党への投票や政治的支持
判断する際は、思想の方向性だけでなく、組織の実態、活動の継続性、所属関係、具体的な行動などを見る必要があります。
【暴力団との関係と違法行為】恐喝・詐欺・検挙件数を警察庁資料から検証
右翼団体について、特に社会的な関心が高いのが暴力団との関係です。
結論からいえば、右翼団体のすべてが暴力団と関係しているわけではありません。しかし、警察庁は、一部の右翼団体に暴力団との組織的なつながりがあることを明らかにしています。
右翼団体と暴力団の関係
警察庁の警察白書によると、右翼団体の中には、幹部の多くが暴力団員または元暴力団員である組織や、暴力団が右翼団体を標榜している組織があります。
こうした組織では、右翼としての政治的な主張を掲げながら、実際には資金獲得や勢力の誇示を目的とした活動を行うケースが問題になっています。
公安調査庁の令和8年版資料でも、右翼団体を次のような系統に整理しています。
- 非暴力団系右翼団体
- 暴力団系右翼団体
- 新右翼
特に暴力団系右翼団体については、暴力団が組織運営に関わり、街宣車を勢力の誇示などに利用する場合があると説明されています。
右翼団体による恐喝・詐欺事件とは
問題となる違法行為の一つが、街宣活動などを利用した恐喝です。
例えば、企業や団体に対して不当な要求を行い、要求に応じなければ街宣活動を行うと脅す行為が該当します。
警察庁が過去に公表した事件には、建設会社の工事をめぐって因縁を付け、街宣活動を行わないことと引き換えに金銭を要求した政治団体幹部の恐喝未遂事件があります。
また、虚偽の書類を使って金融機関から融資を受けようとした政治団体幹部の詐欺事件も記録されています。
これらは、政治的な主張を行う活動とは異なり、刑事責任が問われる違法行為です。
【重要】2025年の右翼団体による違法行為の検挙件数
2026年に確認できる警察庁の公表資料のうち、2025年の年間統計では、右翼運動に伴う事件や資金獲得を目的とした事件について、次の数字が示されています。
2025年・右翼運動に伴う事件の検挙
街頭宣伝活動に伴う事件は12件22人。右翼及びその周辺者からの銃器押収は2丁。
ここで重要なのは、60件85人という数字と、22件27人という数字は別の分類で集計されていることです。単純に合算して総検挙件数とすることはできません。
また、2024年の警察庁資料では、右翼運動に伴う事件の検挙は45件52人、恐喝・詐欺など資金獲得を目的とした事件は49件53人でした。悪質な街頭宣伝活動については7件8人が検挙されています。
2025年と2024年では、資金獲得目的の事件の検挙件数に差がありますが、単年の数字だけで犯罪の実態全体が改善したと判断することはできません。
右翼団体による違法行為にはどのような法律が適用される?
違法行為の内容によって、適用される法律は異なります。
- 恐喝罪: 脅迫や暴行によって金銭などを不当に要求する行為。
- 詐欺罪: 虚偽の説明や書類などによって財産上の利益を得る行為。
- 名誉毀損罪: 公然と事実を示して他人の社会的評価を低下させる行為。
- 暴行罪・傷害罪: 他人に暴力を加える行為や、けがを負わせる行為。
- 道路交通法違反など: 街宣車の運行や道路の使用に関する違反行為。
警察庁は、右翼による違法行為に対して、内容に応じて関係法令を適用し、取締りを進めています。
【警察庁・公安調査庁の対策】右翼団体への監視とヘイトスピーチ解消法の役割
右翼団体の活動については、警察庁と公安調査庁がそれぞれ異なる役割を担っています。
警察庁による右翼団体への対策
警察庁は、右翼団体の動向を把握するとともに、違法行為の防止や取締りを行っています。
主な対策は次のとおりです。
- 街宣活動や抗議活動に伴う違法行為の取締り
- 恐喝や詐欺など資金獲得を目的とした犯罪への対応
- 銃器の押収や銃器犯罪の防止
- デモ参加者同士の衝突や暴力事件の防止
- 街頭活動に対する警備措置
特に、街宣活動をめぐっては、政治的な表現の自由を尊重しながら、脅迫、暴行、交通妨害などの違法行為に対処する必要があります。
公安調査庁による右翼団体の動向調査
公安調査庁は、破壊活動防止法などに基づいて公共の安全に関わる情報を収集・分析し、政府関係機関に提供する機関です。
右翼団体についても、組織の思想的背景、活動状況、過去の事件との関係、国内外の政治情勢への反応などを調査・分析しています。
2026年に公表された「内外情勢の回顧と展望(令和8年版)」では、右翼団体の歴史的な系譜、暴力団との関係、活動の分類、過去の政治的暴力事件をめぐる顕彰活動などが取り上げられています。
また、2026年の月次資料では、実際の街頭宣伝や抗議活動についても記録されています。
ヘイトスピーチ解消法と右派系市民グループ
右翼団体や右派系市民グループの活動を理解するうえで重要なのが、2016年6月3日に施行されたヘイトスピーチ解消法です。
正式名称は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」です。
この法律は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動は許されないと宣言し、国や地方公共団体に対して、相談体制の整備や教育・啓発活動などを求めています。
法務省が示すヘイトスピーチの代表例には、次のようなものがあります。
- 特定の民族や国籍の人々を一律に排除するよう扇動する言動
- 特定の民族や国籍の人々に危害を加えると告知する言動
- 特定の国や地域の出身者を著しく侮辱する言動
注意したいのは、ヘイトスピーチ解消法そのものには罰則が設けられていないという点です。
一方、発言に暴行、脅迫、名誉毀損などの別の犯罪が伴う場合には、それぞれの法律によって処罰される可能性があります。
また、2026年4月の国会審議では、警察庁が把握する右派系市民グループのデモについて、2016年以降の推移が説明されました。同時に、法務省側からは、インターネット上の書き込みも含め、発言の背景や文脈を踏まえて差別的言動に該当するか判断する必要があるとの説明がなされています。
一般の人が右翼団体を見分けるための判断基準
街頭で見かけた車両や集団を、見た目だけで右翼団体と判断するのは適切ではありません。
次のポイントを確認すると、組織の実態を把握しやすくなります。
1.団体名と公式な活動履歴
団体名、過去の活動、機関紙、公式声明などを確認します。
2.活動の目的
領土問題、歴史認識、憲法問題など、どのような政策や政治的主張を掲げているのかを調べます。
3.組織的なつながり
他団体との連携、構成員の関係、暴力団との組織的な関係など、信頼できる公的資料で確認できる情報を区別します。
4.具体的な行為
街宣やデモを行っていることと、暴力や恐喝などの犯罪を行っていることは別です。逮捕や検挙についても、容疑の段階なのか、有罪判決が確定したのかを区別する必要があります。
【プロの結論】右翼団体を理解するうえで本当に重要なこと
右翼団体を正しく理解するには、思想、組織、活動、違法行為という4つの側面を分けて考えることが欠かせません。
国家主義や伝統文化の保護を掲げることは、それ自体で犯罪ではありません。街頭宣伝や抗議活動も、法律の範囲内であれば政治的な表現活動として認められます。
一方、政治的な看板を掲げながら、脅迫や恐喝、暴力によって利益を得ようとする行為は、思想の問題ではなく刑事法上の問題です。
また、右翼団体と右派系市民グループ、一般的な保守系市民団体を混同すると、実際の組織関係や活動の性質を正しく理解できなくなります。
判断の基準にすべきなのは、思想のラベルや街宣車の外見ではなく、組織の実態と具体的な行動です。
【よくある質問】右翼団体とは何かに関するFAQ
Q1:右翼団体とは簡単にいうと何ですか?
右翼団体とは、国家主義、民族主義、皇室擁護、反共主義などの思想を掲げ、政治的・社会的な活動を行う組織の総称です。街宣活動、抗議活動、集会、機関紙の発行など、活動内容は団体によって異なります。
Q2:右翼団体はすべて暴力団と関係していますか?
いいえ。警察庁や公安調査庁は、暴力団との関係がない右翼団体と、暴力団が組織運営に関与する右翼団体を区別しています。すべての右翼団体を暴力団と同一視することはできません。
Q3:右翼団体の街宣車が街中を走るのは違法ですか?
街宣車による政治的な宣伝活動そのものが、直ちに違法になるわけではありません。ただし、道路使用、交通妨害、騒音、脅迫、暴行などについては、行為の内容に応じて関係法令が適用されます。
Q4:右翼団体と右派系市民グループの違いは何ですか?
右翼団体には、歴史的な系譜や組織的な継続性を持つ団体があります。一方、右派系市民グループは、極端な民族主義や排外主義的な主張を掲げて活動するグループとして警察庁が区分しています。両者は政治的な主張が重なることもありますが、同じ組織分類ではありません。
Q5:右翼団体による違法行為はどのくらい検挙されていますか?
警察庁の2025年の資料では、右翼運動に伴う事件の検挙は60件85人です。このほか、資金獲得を目的とした事件は22件27人、街頭宣伝活動に伴う事件は12件22人と公表されています。
Q6:ヘイトスピーチ解消法によって右翼団体のデモは禁止されたのですか?
いいえ。ヘイトスピーチ解消法は、すべてのデモや街頭宣伝活動を禁止する法律ではありません。不当な差別的言動の解消を目的とした理念法であり、同法自体に罰則はありません。ただし、暴行や脅迫などの違法行為には別の法律が適用されます。
まとめ:右翼団体の実態を正しく理解するための判断基準
右翼団体とは、国家主義や民族主義、皇室擁護、反共主義などの思想を掲げ、政治的・社会的な活動を行う組織の総称です。
その歴史は明治時代の玄洋社にまでさかのぼり、戦前の国家主義運動、戦後の反共運動、民族派学生運動などを経て、現在の多様な組織へとつながっています。
2026年の公的資料から確認できる主なポイントは次のとおりです。
- 右翼団体には、非暴力団系、暴力団系、新右翼など複数の系統がある。
- 街宣車による宣伝、外交問題への抗議、集会、慰霊行事などが主な活動となっている。
- 一部の団体では、暴力団との関係や恐喝・詐欺などの資金獲得犯罪が問題になっている。
- 警察庁は違法行為の取締りを進め、公安調査庁は組織や思想、活動の動向を調査・分析している。
- 右派系市民グループや一般的な保守団体とは、組織の成り立ちや活動実態を区別して考える必要がある。
右翼団体をめぐる問題は、政治的な表現の自由と、他者の権利や社会の安全をどう両立させるかという課題にもつながっています。
そのため、団体の思想だけで評価するのではなく、実際に何を主張し、どのような組織活動を行い、法律に違反する行為があったのかを具体的に見極めることが大切です。
2026年以降も、警察庁の警備情勢資料や公安調査庁の公表情報を確認することで、右翼団体の活動や社会への影響をより正確に把握できます。 (出典: 右翼 団体 と は(Yahoo!ニュース))