高速増殖原型炉もんじゅはなぜ廃炉に?2026年の進捗と英国搬出・2047年度完了計画を徹底解説
高速増殖原型炉「もんじゅ」は、かつて日本の核燃料サイクル政策を支える中核施設として期待された原子炉です。しかし、1995年のナトリウム漏えい事故や、その後に発覚した保守管理上の問題などを経て、2016年12月に政府が運転再開を断念し、廃止措置への移行を決定しました。
2026年10月30日現在、もんじゅは福井県敦賀市で廃止措置の第2段階「解体準備期間」にあります。燃料体530体の燃料池への移送は2022年に完了しましたが、発電設備の解体、ナトリウムの処理・搬出準備、原子炉内部の設備撤去などは続いています。ナトリウムの英国搬出は2028~2031年度、施設全体の廃止措置完了は2047年度までを目標としています。
📌 この記事の重要ポイントまとめ - 現在の状況: 2026年10月時点では廃止措置第2段階。原子炉の運転再開はありません。 - 廃炉の理由: 1995年のナトリウム漏えい事故だけでなく、保守管理の不備、運営体制への問題提起、新規制への対応などが重なりました。 - 英国搬出計画: 約1,600トンのナトリウムを2028~2031年度に英国へ搬出する計画です。 - 廃炉完了の目標: 2047年度。燃料の搬出や設備解体、放射性廃棄物の処理などが今後の課題です。
【2026年最新】高速増殖原型炉もんじゅの現在は?運転終了後の状況
もんじゅは福井県敦賀市白木地区に建設された、ナトリウム冷却型の高速増殖原型炉です。日本原子力研究開発機構(JAEA)が廃止措置を担当しています。
現在のもんじゅは、発電を目的とした運転を行う施設ではありません。原子炉内の燃料を取り出した後、設備を安全に撤去するための準備と、残存する冷却材の処理を進める段階にあります。
2026年10月30日時点の作業状況
JAEA敦賀事業本部が2026年10月30日に公表した週報では、もんじゅの状態を「廃止措置中(解体準備期間)」としています。
同週報に記載された主な作業は次の3つです。
- 原子炉内のしゃへい体等の取出し作業
- 2次メンテナンス冷却系の解体撤去
- 水・蒸気系等の発電設備の解体撤去
これらは原子炉本体の本格的な解体に向けた準備作業です。特にナトリウムを使用した設備では、内部に残留する冷却材への対策を講じながら作業を進める必要があります。
2026年9月には廃止措置計画の変更申請も提出
2026年8月31日、JAEAは廃止措置計画の変更認可申請を原子力規制委員会に提出しました。
原子力規制委員会は9月1日に申請を受理しています。主な変更内容は、しゃへい体等の取出し作業の見直しなどです。
ここで注意したいのは、申請の受理と変更計画の認可は別の手続きだという点です。9月1日の発表は審査に向けて申請を受け付けたことを示すもので、変更内容すべてが認可されたことを意味しません。
燃料体530体の取出しはすでに完了
廃止措置における大きな節目は、原子炉内にあった燃料体の取出しです。
JAEAによると、もんじゅにあった燃料体530体は、ナトリウム洗浄などを経て燃料池へ移送されました。この作業は2022年10月13日に完了しています。
ただし、燃料体の取出し完了は施設全体の廃炉完了を意味しません。燃料以外にも原子炉設備、ナトリウム配管、蒸気発生設備、建屋などが残っており、段階的な撤去が必要です。
【廃炉の理由】もんじゅはなぜ運転を終えたのか?1995年事故から2016年決定まで
もんじゅの廃炉を説明する際、1995年のナトリウム漏えい事故が最初に取り上げられます。しかし、廃止措置への移行は、この事故だけで決まったものではありません。
事故後の運転再開の難航、2010年の設備トラブル、保守管理の不備、原子力規制委員会による勧告など、複数の問題が長期間にわたって積み重なりました。
1995年12月8日:ナトリウム漏えい事故が発生
もんじゅでは1994年4月5日に初臨界を達成し、1995年8月29日には初めて発電に成功しました。
しかし、その約3か月後の1995年12月8日、2次主冷却系の配管に取り付けられた温度計のさや管が破損し、ナトリウムが漏えいする事故が発生します。
事故の概要は次のとおりです。
- 発生日:1995年12月8日
- 発生場所:2次主冷却系Cループ配管付近
- 漏えいしたナトリウム:約0.7トン
- 主な原因:温度計さや管の設計上の問題と流体振動による疲労破損
- 事故の特徴:漏えいしたナトリウムが空気と反応して燃焼
原子力委員会の原子力白書によると、この事故は原子炉を直接通らない2次系で発生しました。そのため、放射性物質による周辺環境や作業員への影響は確認されず、炉心の冷却機能も維持されました。
一方、事故後の映像公開をめぐる対応が大きな批判を招きました。撮影映像が短く編集された状態で公開されたことなどから、情報公開の姿勢に対する不信感が広がったのです。
つまり、この事故は設備の設計・管理上の問題に加え、原子力施設に求められる情報公開と説明責任の重要性を浮き彫りにしました。
2010年:運転再開後に炉内中継装置が落下
事故後、もんじゅは長期間にわたって運転を停止しました。ナトリウム漏えい対策の改造工事などを経て、2010年5月に性能試験を再開します。
ところが、同年8月26日、燃料交換の片付け作業中に炉内中継装置が落下するトラブルが発生しました。
その後も保守管理体制をめぐる問題が発覚し、運転再開への道は再び難しくなります。
2012~2015年:保守管理の不備と原子力規制委員会の勧告
2012年11月には、約9,000点の機器について点検時期を超過していたことが明らかになりました。
これを受け、原子力規制委員会は保安措置命令などを発出。2015年11月13日には文部科学大臣に対し、JAEAに代わってもんじゅの出力運転を安全に行える運営主体を具体的に特定するよう勧告しました。
この勧告は、単に個別設備の修理を求めるものではありません。原子炉を運転する組織として、保守管理や安全確保を継続的に実行できる能力があるのかという、運営主体そのものへの問題提起でした。
2016年12月21日:政府が廃止措置への移行を決定
2016年12月21日、原子力関係閣僚会議は、もんじゅについて原子炉としての運転再開を行わず、廃止措置に移行する政府方針を決定しました。
背景には、これまでのトラブルや保守管理上の問題に加え、東日本大震災と福島第一原発事故を踏まえた新たな規制への対応などがありました。
政府は、もんじゅを運転するという従来の役割から、これまで蓄積した人材や技術的知見を今後の高速炉研究開発に活用する方向へ政策を転換したのです。
したがって、廃炉の理由を「1995年の事故が起きたから」とだけ説明するのは正確ではありません。設備の問題、組織の管理能力、規制対応、研究開発政策の見直しが複合的に影響した結果です。
【高速増殖炉の仕組み】MOX燃料とナトリウム冷却は何が違う?
もんじゅを理解するには、高速増殖炉(FBR)という原子炉の仕組みを知る必要があります。
一般的な軽水炉と異なり、高速増殖炉は高速中性子を利用して核分裂反応を起こすと同時に、新たな核燃料を生み出すことを目指す原子炉です。
高速増殖炉(FBR)はどのように燃料を増やすのか
高速増殖炉では、プルトニウムを含む燃料を炉心に配置します。その周囲には、ウラン238を含むブランケット燃料を設置します。
炉心でプルトニウム239などが核分裂すると、高速中性子が放出されます。この中性子の一部が周囲のウラン238に吸収されると、核変換によってプルトニウム239が生成されます。
このように、発電で燃料を消費しながら、新しい核分裂性物質を生み出す仕組みが「増殖」です。
ただし、高速炉であればすべてが高速増殖炉というわけではありません。高速中性子を利用することと、消費した以上の核分裂性物質を生成する増殖性能を持つことは、区別する必要があります。
MOX燃料とは?プルトニウムとウランを混ぜた核燃料
もんじゅが使用するMOX燃料は、Mixed Oxide Fuelの略称です。
プルトニウム酸化物(PuO₂)とウラン酸化物(UO₂)を混合した酸化物燃料であり、ウランとプルトニウムを組み合わせて核分裂反応に利用します。
一般的な軽水炉ではウラン酸化物燃料を使用するのに対し、もんじゅではプルトニウムを含むMOX燃料を採用していました。
高速増殖炉の研究では、使用済燃料から回収したプルトニウムとウランを再利用し、燃料資源を効率的に活用する核燃料サイクルの構築が目指されていました。
ナトリウム冷却炉の特徴とメリット・デメリット
もんじゅのもう一つの大きな特徴は、冷却材に液体ナトリウムを使用していることです。
ナトリウムは熱を伝えやすく、高温でも沸騰しにくい性質があります。高速中性子の速度をあまり低下させないため、高速増殖炉の冷却材として採用されました。
JAEAが公表する仕様では、ナトリウムの凝固点は約98℃、沸点は約900℃です。
一方、ナトリウムには重大な取扱上の注意点があります。空気や水と反応しやすく、漏えいした場合には燃焼や化学反応による危険が生じます。
1995年の事故は、この冷却材の性質と設備設計・管理上の問題が重なった事例でした。
高速増殖炉と軽水炉の違いを比較
両者の違いは、燃料だけではありません。核分裂を維持する中性子の速度、冷却材、原子炉の構造が異なります。
なお、軽水炉も使用済燃料の再処理やMOX燃料利用を行う場合があります。MOX燃料を使うこと自体が高速増殖炉だけの特徴というわけではありません。
【開発から廃炉まで】もんじゅの歴史と関係機関を時系列で整理
もんじゅの歴史は、原型炉の開発、事故と長期停止、運転再開への取り組み、廃止措置への転換という4つの流れに整理できます。
以下はJAEAの公表する経緯や原子力委員会の資料をもとにした主要な年表です。
廃止措置に関係する主な機関
もんじゅの廃炉は、JAEAだけで完結する事業ではありません。国の政策決定、技術的な実施、安全規制という役割分担があります。
- 日本原子力研究開発機構(JAEA): 廃止措置の実施主体。設備の維持管理、燃料管理、ナトリウム処理、解体作業などを担当します。
- 原子力規制委員会: 廃止措置計画の認可・変更審査や安全規制を担当します。
- 文部科学省: 政府の廃止措置政策や研究開発に関する調整・監督を担います。
- 英国の処理事業者: 搬出されたナトリウムを処理するための施設整備や処理準備を担当します。
こうした役割の違いを理解すると、JAEAが発表した作業状況と、原子力規制委員会による認可情報を混同せずに把握できます。
【廃止措置第2段階】2026年の進捗と英国へのナトリウム搬出計画
2026年のもんじゅを理解するうえで最も重要なのが、廃止措置第2段階です。
この段階は「解体準備期間」と位置づけられています。原子炉本体の大規模な解体に入る前に、内部設備や発電設備を撤去し、ナトリウムを安全に処理・搬出するための準備を進めます。
第2段階は2023~2031年度の計画
第2段階は、大きく前半と後半に分けられています。
- 前半:2023~2026年度 原子炉内のしゃへい体等の取出しや発電設備の撤去を進める期間。
- 後半:2027~2031年度 ナトリウムの抜出し・搬出などを進める期間。
2025年2月の文部科学省資料でも、この2段階の工程が示されています。2026年度は前半の終盤に当たりますが、実際の作業方法や安全対策の変更に伴い、計画の見直しも進められています。
2026年に進むしゃへい体等の取出し作業
原子炉内部には、運転中に中性子を受けて放射化したしゃへい体などがあり、これらを安全に取り出す作業が続けられてきました。
2026年9月のJAEA報告では、放射化したしゃへい体等については原子炉内からすべて取り出し済みである一方、炉内には放射化していないステンレス製の模擬燃料体が残っていると説明されています。
当初は、この模擬燃料体を液体ナトリウム中から取り出す方法が想定されていました。しかし、放射線管理上の影響やナトリウムの抜出し作業への影響などを検討した結果、ナトリウムを先に抜き取り、次の第3段階で原子炉容器を解体する際に合わせて取り出す方法へ見直す方針が示されました。
これは作業を単純に先送りするというより、ナトリウム環境下での作業に伴うリスクを低減し、全体の解体工程を合理化するための変更です。
2次メンテナンス冷却系ではナトリウムの安定化処理
2026年の具体的な作業成果として注目されるのが、2次メンテナンス冷却系の解体準備です。
JAEAの2026年3月公表資料によると、2026年1月から2月にかけて、茨城県の大洗原子力工学研究所で実績のある炭酸塩化法を用いて、設備内部に残っていたナトリウムの安定化処理が行われました。
炭酸塩化法は、残留ナトリウムを化学的に安定した炭酸塩へ変化させる処理方法です。
今回の対象となった2次メンテナンス冷却系は、放射性物質を含まない設備とされています。こうした比較的小規模な設備で処理・解体技術を実証し、将来の主要ナトリウム機器の解体に役立てる狙いがあります。
同時に、水・蒸気系等の発電設備についても解体撤去が進められています。
もんじゅのナトリウムは何トン残っている?
もんじゅの廃止措置で大きな課題となっているのが、冷却材として使用してきたナトリウムです。
JAEAの公表資料によると、施設全体で使用されていたナトリウムは約1,665トンです。
そのうち約1,588トン、全体の約95%は既存設備の通常操作で抜き取ることが可能とされています。残り約77トンについても、できる限り回収する方法が検討されています。
すでに2次系ナトリウムは2018年12月5日までに全量抜き取られています。一方、原子炉容器や炉外燃料貯蔵槽などには液体状態で保持されているナトリウムもあります。
英国搬出計画は2028~2031年度
もんじゅで使用したナトリウムは、国内ですべて処理するのではなく、英国へ搬出して処理する計画です。
JAEAと英国事業者との間では、2021年12月に覚書が締結されました。その後、2023年4月に枠組み契約、同年7月に最初の個別契約が結ばれています。
さらに2025年9月19日には、英国でナトリウム処理施設を建設し、試運転と必要な許認可手続きを進めるための2件目の個別契約(SO2)が締結されました。
処理施設の建設予定地は、英国西カンブリア地方のワーキントン港です。施設の建設・試運転準備には約3年間を見込んでいます。
搬出対象となる約1,600トンのナトリウムは、2028~2031年度に英国へ運ぶ計画です。英国で処理した後は水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)に変え、酸性物質の中和剤などとして工業利用する予定です。
この計画で重要なのは、英国への搬出が単なる輸送ではないことです。ナトリウムの抜出し、輸送用タンクへの移送、輸送時の安全管理、英国側の処理設備の完成と許認可が連動する国際プロジェクトになっています。
【廃炉完了は2047年度】残された課題と今後の工程を検証
もんじゅの廃止措置は、2018年度から始まり、2047年度までに完了する計画です。
原子力規制委員会も、もんじゅの廃止措置完了予定を2047年度と公表しています。ただし、これは現行計画上の目標であり、すでに廃炉完了が確定しているという意味ではありません。
廃止措置は全部で4段階
JAEAの廃止措置計画では、施設の解体・撤去を4段階に分けて進めています。
第1段階:燃料取出し期間
原子炉や炉外燃料貯蔵槽から燃料を取り出し、ナトリウム洗浄などを経て燃料池に移送する段階。2022年に530体すべての移送が完了。
第2段階:解体準備期間
しゃへい体等の取出し、ナトリウムの抜出し・搬出準備、水・蒸気系等の発電設備の撤去などを進める段階。2026年現在はここに該当。
第3段階:廃止措置期間Ⅰ
ナトリウム機器の本格的な解体や、発電設備の撤去を進める段階。
第4段階:廃止措置期間Ⅱ
管理区域を解除し、建物などを解体撤去する最終段階。
このように、燃料を取り出した後も、冷却材の処理、設備の解体、放射性物質の管理、建屋の撤去という複数の工程が残っています。
課題1:使用済燃料530体の最終的な搬出
燃料体530体は燃料池への移送が完了していますが、施設外への搬出と再処理は別の課題です。
JAEAのQ&Aでは、使用済燃料の搬出開始見込みを2034年度、搬出完了見込みを2037年度としています。
再処理については、技術的な成立性が確認されているフランスでの処理を基本としながら、その他の選択肢も含めて検討中です。具体的な譲渡先や搬出方法は、今後の計画変更認可にも関係します。
したがって、燃料池への移送が完了したことと、使用済燃料の処分まで終わったことは区別しなければなりません。
課題2:放射性ナトリウムと残留ナトリウムの管理
ナトリウムの処理では、放射化の有無によって管理方法が異なります。
1次系のナトリウムは原子炉内を通っていたため放射化しています。ただし、もんじゅは運転期間が短かったことから、JAEAはその放射化レベルを極めて低いと説明しています。
一方、原子炉を直接通らない2次系ナトリウムは放射化していません。
それでも、放射化しているかどうかにかかわらず、ナトリウムそのものが空気や水と反応する性質を持つため、抜出しや配管切断、搬出作業には慎重な管理が必要です。
特に、配管やタンクの内部に少量残っているナトリウムをどう回収し、どのような方法で安定化するかは、今後の設備解体を左右する技術的な課題です。
課題3:解体廃棄物の分類と処分
原子炉設備を解体すると、放射性廃棄物だけでなく、通常の産業廃棄物として扱えるものも発生します。
JAEAは、放射線管理区域内にあった設備であっても、使用状況や汚染の程度、除染後の状態などに応じて、国の確認を受けたうえで通常の産業廃棄物として処分・再利用できる制度があると説明しています。
重要なのは、すべての解体物を一律に処分するのではなく、汚染状況を評価し、法令に基づいて分類・管理することです。
施設全体の解体には長期間を要するため、廃棄物の保管場所や搬出先、処分方法の確保も工程管理上の重要事項になります。
2047年度完了はどこまで確実なのか
2047年度という数字は、廃止措置計画で定められた目標です。現在の計画では、2028~2031年度のナトリウム搬出、2034~2037年度の使用済燃料搬出などを経て、設備の本格解体や建屋撤去へ進む想定です。
したがって、今後の工程を左右するのは、単に建物を壊す速度ではありません。
- 英国のナトリウム処理施設が予定どおり完成するか
- ナトリウムの抜出しと輸送が安全に進むか
- 使用済燃料の搬出・再処理先が確定するか
- 原子炉本体やナトリウム機器の解体方法が具体化するか
- 放射性廃棄物の分類・保管・処分が計画どおり進むか
こうした条件を一つずつクリアする必要があります。2026年の計画変更申請も含め、今後は作業の進捗だけでなく、変更内容の認可状況や工程への影響を確認することが欠かせません。
【プロの結論】もんじゅの廃炉で本当に注目すべきこと
もんじゅの廃炉を評価する際、運転終了という結果だけに注目すると、問題の全体像を見失います。
もんじゅが抱えていたのは、高速増殖炉という技術の難しさだけではありません。高度な原子炉設備を長期間、安全に維持する組織能力、事故時の情報公開、規制当局との信頼関係、そして研究開発を継続するための政策的な判断という複数の課題でした。
一方、廃止措置そのものも高度な技術を必要とします。液体ナトリウムを安全に抜き取り、安定化し、海外に搬出して処理する作業は、一般的な建物の解体とは異なる専門性が求められます。
そのため、2026年以降に注目すべき評価基準は次の3点です。
第一に、安全性。 作業を急ぐことよりも、残留ナトリウムや放射化した設備を適切に管理できているかが重要です。
第二に、工程の透明性。 2028~2031年度の英国搬出計画や使用済燃料の搬出計画について、契約、許認可、実際の作業がどの段階にあるのかを区別して見る必要があります。
第三に、技術と知見の継承。 もんじゅの開発・運転・廃止措置で得られた知見が、今後の高速炉研究や原子力施設の安全管理にどのように生かされるかが問われます。
2047年度という目標の達成だけでなく、そこに至るまでの安全性、情報公開、技術的成果を合わせて検証することが、もんじゅの歴史を正しく理解するための視点です。
高速増殖原型炉もんじゅに関するよくある質問(FAQ)
Q1:もんじゅは2026年現在、まだ運転していますか?
A1:いいえ。2016年12月に政府が原子炉としての運転再開を行わず、廃止措置へ移行する方針を決定しました。2026年10月現在は解体準備期間にあり、発電運転は行っていません。
Q2:もんじゅの廃炉はいつ完了する予定ですか?
A2:JAEAの廃止措置計画では2047年度までの完了を目標としています。暦年の2047年中という意味ではなく、2047年度末までの計画です。実際の進捗はナトリウム搬出や設備解体などに左右されます。
Q3:もんじゅのナトリウムはどうなるのですか?
A3:約1,665トンのナトリウムが使用されていました。搬出可能な約1,600トンを2028~2031年度に英国へ運び、処理後に水酸化ナトリウムとして工業利用する計画です。
Q4:もんじゅと一般的な原子力発電所の違いは何ですか?
A4:一般的な軽水炉は水を冷却材・減速材として使用し、主に熱中性子で核分裂反応を維持します。もんじゅは液体ナトリウムで冷却し、高速中性子を利用して燃料の増殖を目指す原型炉でした。
Q5:1995年のナトリウム漏えい事故で周辺住民に放射線被害はありましたか?
A5:原子力委員会の原子力白書によると、事故は2次冷却系で発生し、放射性物質による周辺環境や作業員への影響はありませんでした。ただし、事故後の情報公開をめぐる対応は社会的な不信を招きました。
まとめ:もんじゅの現在と2047年度の廃炉完了に向けた展望
高速増殖原型炉もんじゅは、1994年の初臨界から1995年のナトリウム漏えい事故、2010年の運転再開と設備トラブル、2016年の廃止措置決定を経て、現在は解体準備の段階にあります。
2026年10月30日時点では、燃料体530体の燃料池への移送はすでに完了し、しゃへい体等の取出し、発電設備の解体、ナトリウム処理などが進められています。
今後の大きな節目は、2028~2031年度に予定されている英国へのナトリウム搬出と、2034~2037年度に見込まれる使用済燃料の搬出です。その先にはナトリウム機器の本格解体、管理区域の解除、建屋撤去が控えています。
もんじゅの廃炉は、2047年度まで続く長期プロジェクトです。運転を終えた原子炉を安全に解体すること、事故や保守管理上の問題から得た教訓を継承すること、そして高速炉開発で蓄積した技術を次世代に生かすこと。この3つが、今後のもんじゅを追ううえで重要なポイントになります。 (出典: 高速 増殖 原型 炉 もんじゅ(Yahoo!ニュース))