山口智子の「LISTEN.」とは?世界26カ国の音楽記録と2026年「白夜」上映情報を徹底解説
俳優・山口智子がライフワークとして取り組む「LISTEN.(リッスン)」をご存じだろうか。これは、世界約26カ国を10年かけて巡り、各地に受け継がれる民族音楽や伝統文化、人々の暮らしを映像に記録してきた音楽文化プロジェクトだ。テレビや映画で活躍してきた山口智子が、なぜ世界の音楽を記録する活動を始めたのか。その背景には、情報を受け取るだけではなく、自分の耳と心で世界を感じたいという強い思いがあった。
2026年10月24日には、横浜山下ふ頭の「THE MOVEUM YOKOHAMA by TOYOTA GROUP」で、新作「LISTEN. ONE MOMENT ~WHITE NIGHT 白夜~」の上映がスタート。北極圏のイヌイットやラップランドのサーミなど、北方の人々が育んできた音楽文化を、映像と音で体感できる。書籍『LISTEN.』やYouTubeチャンネル『山口智子の風穴!?』との関係も含め、2026年10月31日時点の最新情報を整理する。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】 - LISTEN.とは: 山口智子が2010年に始めた、世界約26カ国の音楽文化を映像に記録するライフワーク。 - 活動の規模: 10年間の旅で250曲を超える音楽と31の短編エピソードを収録した映像ライブラリーを制作。 - 2026年の最新作: 「WHITE NIGHT 白夜」が10月24日から横浜のTHE MOVEUM YOKOHAMAで上映開始。 - 体験方法: 没入型映像作品の鑑賞、書籍『LISTEN.』のQRコードによる音楽・映像体験などがある。 - 関連活動: 山口智子のYouTubeチャンネル『山口智子の風穴!?』でも、国内外の文化や歴史を再発見する旅を発信している。
【LISTEN.とは何か】山口智子が世界26カ国で続けてきた音楽文化の映像記録
「LISTEN.」は、俳優の山口智子がプロデュースする、世界の音楽文化を映像ライブラリーに収めるプロジェクトだ。単なる海外旅行の記録でも、著名な音楽家を紹介する映像番組でもない。
活動の中心にあるのは、その土地で暮らす人々が歌い、奏で、踊りながら受け継いできた音楽を、現地の風景や生活文化とともに記録すること。民族音楽を通して、地域の歴史や自然環境、人々の価値観まで伝えようとしている。
2010年に始動、10年間で約26カ国を巡る
プロジェクトが始まったのは2010年。約10年をかけて世界約26カ国を訪れ、さまざまな地域の音楽家や伝統文化と出会ってきた。
公式プロジェクト資料によると、収録された音楽は250曲を超え、31の短編エピソードが制作されている。膨大な映像素材を蓄積し、後世に伝えるための音楽文化ライブラリーとして整備してきた点が特徴だ。
訪問地には、ハンガリー、セルビア、トルコ、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリア、カナダ、アイスランド、アルゼンチン、ベリーズ、プエルトリコ、インド、ネパール、ジョージアなどが含まれる。
それぞれの土地には、異なる歴史と自然環境があり、そこから生まれた独自のリズムや旋律がある。LISTEN.は、音楽を単独の芸術作品として切り取るのではなく、土地と人間の関係を伝える文化記録として扱っている。
この活動を理解するうえで重要なのが、「音のタイムカプセル」という考え方だ。現在も受け継がれている音楽を記録することで、100年後、1000年後の人々にも地球の文化的な豊かさを届けようとしている。
つまりLISTEN.は、世界の音楽を楽しむためのコンテンツであると同時に、消えてしまう可能性のある文化や生活の記憶を未来に残す取り組みでもある。
LISTEN.を支える制作チーム
このプロジェクトは山口智子一人で完結するものではない。映像制作、録音、演出など、それぞれの専門家が参加している。
公式サイトに掲載された主要スタッフは次のとおりだ。
- ギャリー・バッサン:企画・演出・プロデュース
- 山口智子:企画・プロデュース
- アッティラ・チョボット:撮影監督
- マック・ルース:録音
- アンドレアス・ルフト:録音
- ペーター・ラコッシュ:スチール撮影
ギャリー・バッサンは、2000年から山口智子とともに世界の文化や旅をテーマにした映像制作に取り組んできた人物でもある。長期的な共同制作体制が、10年間にわたるプロジェクトを支えてきた。
【始めた理由を解説】山口智子が「LISTEN.」に込めた思いとは?
なぜ、俳優として第一線で活動してきた山口智子が、世界各地の民族音楽を記録するプロジェクトを立ち上げたのか。
その理由は、2023年に公開されたエンタメ情報メディア「SPICE」のインタビューで本人が語っている。きっかけの一つは、当時のテレビを取り巻く情報環境への違和感だった。
情報を受け取るだけではなく、自分の感覚で世界を知りたい
山口智子は、幼い頃からテレビが好きだったと振り返っている。一方、2010年頃のテレビには、映像に説明や解説が過剰に付けられる傾向があり、視聴者が自分で感じ取る余地が少なくなっていることに疑問を持っていた。
映像を見る前から説明が表示され、出演者が話す前にテロップで意味が示される。そうした情報の洪水のなかで、世界を自分自身の感覚で受け止める力を取り戻したいと考えるようになったという。
「聞く」ということは、耳を澄まして、心を開いて、世界を受け入れること。
この考え方が「LISTEN.」という名称にもつながっている。
世界を知識として理解するだけでなく、音を聴き、現地に立ち、人々と出会うことで初めて分かることがある。そうした実感を大切にしたいという思いが、プロジェクトの出発点になった。
ハンガリーの音楽との出会いが広げた世界
もう一つ、活動の背景として注目したいのがハンガリーでの経験だ。
2025年11月の「月刊旅色」のインタビューで、山口智子はLISTEN.の始まりの地としてハンガリーを選んだ理由を語っている。
初めて訪れた際、ドナウ川の夜の風景のなかから流れてきたロマ音楽の旋律に、強い懐かしさを覚えたという。さらに、その音楽の背景を調べていくうちに、ハンガリーの文化が東西の交流や騎馬民族の歴史と深く結びついていることに関心を持った。
音楽を入り口にすると、教科書や歴史資料だけでは見えにくい人々の移動や交流の記憶が浮かび上がってくる。
この経験は、LISTEN.の方向性を象徴している。音楽を聴くことは、単にメロディーを楽しむことではない。その土地で生きてきた人々の歴史や、異なる文化が交わってきた時間を感じ取ることでもあるのだ。
山口智子が残そうとしているもの
2026年9月の日本赤十字社のインタビューでは、山口智子はLISTEN.を通じて目指すものについて、100年後、1000年後にも誇れる音楽文化を映像として残したいという考えを示している。
ここには、単なる異文化紹介を超えた問題意識がある。社会の変化や紛争、生活環境の変化によって、地域に根づいた文化が継承されにくくなることへの危機感だ。
同インタビューでは、イラン出身の女性歌手たちとの出会いにも触れている。自国では女性アーティストとして活動することが難しい事情から、故郷ではなくノルウェーで撮影を行ったというエピソードだ。
音楽を残すという行為は、そこに生きる人々の表現の自由や尊厳にも関わっている。LISTEN.が文化記録として持つ意味は、こうした具体的な出会いからも見えてくる。
【活動の全体像】LISTEN.の歴史・関連作品・人物の関係を一覧で整理
LISTEN.の活動を理解するには、世界を巡る映像制作だけでなく、書籍化、海外での展示、没入型映像作品への展開までを一つの流れとして見る必要がある。
以下は、公式発表や関係団体の資料から整理した主な経緯と、関連する人物・作品の関係だ。
| 時期・項目 | 出来事・人物 | LISTEN.との関係 |
|---|---|---|
| 2000年 | 山口智子・ギャリー・バッサン | 世界の文化や旅をテーマに映像制作を開始 |
| 2010年 | LISTEN.始動 | 世界の音楽文化を記録する旅を開始 |
| 約2010~2020年 | 世界約26カ国 | 10年間にわたる音楽映像の収集 |
| 2022年8月 | 書籍『LISTEN.』 | 写真・文章・QRコードで音楽映像を体験できる書籍を刊行 |
| 2023年 | 兼高かおる賞 | 山口智子が第2回受賞者に選出 |
| 2025年 | HOUSE OF MUSIC HUNGARY | ブダペストでLISTEN.の展覧会を開催 |
| 2025年12月~2026年6月 | REJOICE 夜明けの章 | THE MOVEUMでの過去のLISTEN.シリーズ |
| 2026年10月24日~ | WHITE NIGHT 白夜 | ONE MOMENTシリーズの新作を横浜で上映 |
関係者・関連コンテンツの役割を整理すると、次のようになる。
| エンティティ | 役割・特徴 | 関係性 |
|---|---|---|
| 山口智子 | 俳優・企画プロデューサー | プロジェクトの中心人物 |
| ギャリー・バッサン | 映像演出・プロデューサー | 企画・制作を共同で担当 |
| LISTEN. | 音楽文化の映像ライブラリー | プロジェクトの中核 |
| ONE MOMENT | 没入型映像シリーズ | 既存映像を新しい鑑賞体験へ展開 |
| WHITE NIGHT 白夜 | 2026年の新作 | 北方民族の音楽と文化を紹介 |
| THE MOVEUM YOKOHAMA | 横浜のアート施設 | 新作の上映会場 |
| 書籍『LISTEN.』 | 636ページの写真・映像連動書籍 | 音楽記録を読者に届ける媒体 |
| 山口智子の風穴!? | YouTubeチャンネル | 旅や文化の再発見を発信する関連活動 |
この年表から分かるのは、LISTEN.が映像を撮影して終わるプロジェクトではないということだ。撮影した素材を編集し、書籍にまとめ、海外で紹介し、さらに没入型映像へと再構成する。記録した文化を異なるメディアで届ける仕組みが育っている。
特に2025年のブダペストでの展示は、ハンガリーがプロジェクトの出発点の一つであることを考えると象徴的だ。現地で出会った音楽文化を、今度は展示という形で届ける段階に進んでいる。
【2026年最新作】LISTEN. ONE MOMENT「WHITE NIGHT 白夜」の見どころ
2026年のLISTEN.で特に注目されるのが、新作「LISTEN. ONE MOMENT ~WHITE NIGHT 白夜~」だ。
この作品は、世界の音楽文化を10年間かけて撮影した膨大な映像をもとに制作された「ONE MOMENT」シリーズの新作。イマーシブアートと音楽映像を融合させ、北方の自然や文化、人々の営みを体感できる作品として展開されている。
WHITE NIGHTが描く北方民族の音楽文化
WHITE NIGHTのテーマは、白夜の光に包まれる北の世界だ。
公式作品紹介では、北極圏のイヌイット、ラップランドのサーミ、アイスランド、北欧スウェーデンなどが取り上げられている。
雪と氷に囲まれた厳しい自然のなかで、人々はどのように暮らし、何を歌い、どのような音を次の世代へ伝えてきたのか。作品は、そうした文化と生命力を音楽から描き出す。
注目したい参加アーティスト
公式発表で紹介されている主な参加アーティストと、その特徴を見てみよう。
1. タパニ・リンネ(Tapani Rinne)
フィンランドを代表する現代音楽家。伝統音楽を重視しながら、ジャズや電子音楽を取り入れた独自の表現を追求している。
2. ウィメイ・サーリ(Wimme Saari)
ラップランドの先住民族サーミの伝統歌唱「ヨイク」を継承するアーティスト。自然や動物の音を思わせる独特の歌唱表現が特徴だ。
3. ターニャ・タガック(Tanya Tagaq)
カナダのイヌイット文化に伝わる喉歌「カタジャック」を継承するアーティスト。呼気と吸気を使い、独特のリズムや音色を生み出す歌唱表現で知られる。
4. ヴォーセス・トゥーレス(Voces Thules)
1992年に結成されたアイスランドの音楽アンサンブル。中世から歌い継がれてきた音楽を研究し、現代の表現として再構成している。
5. レナ・ヴィッレマルク(Lena Willemark)
スウェーデンの伝統音楽を受け継ぐフィドル奏者、歌手、作曲家。民謡とジャズなどを融合させた音楽活動を行っている。
こうしたアーティストの顔ぶれからも、WHITE NIGHTが単なる北欧の風景映像ではないことが分かる。地域に根づいた伝統歌唱と、現代音楽の表現が交差する作品なのだ。
2026年版で注目したい「ONE MOMENT」という表現
ONE MOMENTは、過去10年間に蓄積した映像ライブラリーを、没入型アートとして新たに届けるシリーズだ。
従来の映像記録では、音楽家の演奏や土地の風景を画面越しに見ることが中心だった。これに対して没入型映像では、空間全体を使って映像と音を届けることで、鑑賞者がその場の雰囲気を身体的に感じ取れる。
音楽の背景を説明することよりも、まず音と映像を受け止める。この体験設計は、山口智子がプロジェクトを始めた際に抱いていた「耳を澄まして世界を感じたい」という考え方ともつながっている。
WHITE NIGHTは、北方の自然と音楽を通して、文化を知識ではなく体験として受け取るための作品といえる。
【横浜の上映情報】THE MOVEUM YOKOHAMAの会場・期間・料金・時間
「WHITE NIGHT 白夜」を実際に鑑賞できるのが、神奈川県横浜市の山下ふ頭にある「THE MOVEUM YOKOHAMA by TOYOTA GROUP」だ。
トヨタグループが運営するイマーシブアート施設で、映像と音楽を組み合わせた展示や文化体験を提供している。2026年10月24日のリニューアルオープンに合わせ、LISTEN.の新作も公開された。
開催概要と上映スケジュール
| 項目 | 2026年最新情報 |
|---|---|
| 作品名 | LISTEN. ONE MOMENT ~WHITE NIGHT 白夜~ |
| 上映開始日 | 2026年10月24日(土) |
| 会場 | THE MOVEUM YOKOHAMA内 STUDIO |
| 所在地 | 神奈川県横浜市中区山下町279-9 |
| 建物 | 横浜山下ふ頭4号上屋 |
| 1回の上映時間 | 約20分 |
| 月~金・日・祝日の上映時間帯 | 11:00~18:00 |
| 土曜・祝前日の上映時間帯 | 11:00~19:00 |
| 施設の開催期間 | 2026年10月24日~2027年3月31日 |
| 公式主催 | トヨタグループ |
ここで注意したいのは、施設全体の開催期間とLISTEN.作品の個別の会期は同じ情報ではないという点だ。施設全体は2027年3月31日までの開催と発表されている。一方、LISTEN.の作品紹介ページでは10月24日からの上映開始が案内されており、個別の終了日は別途明記されていない。
LISTEN.の具体的な上映時刻
STUDIOでのLISTEN.は、約20分ごとに上映される。公式ページに掲載されている開始時刻は次のとおりだ。
| 時間帯 | LISTEN.上映開始時刻 |
|---|---|
| 11時台 | 11:10・11:30 |
| 12時台 | 12:00・12:20・12:40 |
| 13時台 | 13:10・13:30 |
| 14時台 | 14:00・14:20・14:40 |
| 15時台 | 15:10・15:30 |
| 16時台 | 16:00・16:20・16:40 |
| 17時台 | 17:10・17:30 |
| 18時台 | 18:00・18:20・18:40(土曜・祝前日のみ) |
なお、同じSTUDIOでは「トヨタ夢のクルマアートコンテスト」の入賞作品も特別上映されている。こちらは約10分の作品で、LISTEN.とは上映時刻が異なる。
また、混雑状況によっては次の上映回への案内となる場合がある。午前中は混雑が予想されるため、ゆっくり鑑賞したい人は午後以降の来場も選択肢になる。
チケット料金はいくら?
2026年10月31日時点のTHE MOVEUM YOKOHAMAの通常チケット料金は以下のとおり。LISTEN.専用チケットというより、施設の入場チケットに関する料金だ。
| チケット区分 | オンライン購入 | 会場購入 |
|---|---|---|
| 一般 | 3,000円 | 3,800円 |
| 大学生・高校生・専門学校生 | 1,700円 | 2,400円 |
| 障害者割引 | 2,500円 | 3,300円 |
| ペアチケット | 5,600円 | 販売なし |
| 中学生以下 | 無料 | 無料 |
オンライン価格には、利用するプレイガイドによって別途購入手数料がかかる。ペアチケットは2人同時入場が条件で、中学生以下の子どもには入場チケットが配布される。
小学生以下の子どもだけでの入場はできず、18歳以上の保護者の同伴が必要だ。
会場へのアクセスと鑑賞時の注意点
最寄り駅は、みなとみらい線の元町・中華街駅。
公式アクセス案内によると、4番出口から山下ふ頭バス待合所まで徒歩約5分。そこから会場までは、無料モビリティ送迎を利用すると約5分、徒歩では約20分となる。
送迎は混雑や運休などで利用できない場合があるため、上映開始時刻の約30分前までに山下ふ頭バス待合所へ到着することが推奨されている。
鑑賞時には、次の点にも注意したい。
- 光の点滅や強い光の演出がある。
- 大きな音や香りを使った演出がある。
- 暗い場所があるため、暗所が苦手な人は注意が必要。
- 写真・動画撮影は原則可能だが、ほかの来場者への配慮が必要。
- ライブ配信は原則禁止。
- 当日中の再入場は可能。退出時にスタッフへ申し出る。
特に光刺激により体調に影響が出たことがある人や、暗所・閉所が極端に苦手な人は、事前に施設の注意事項を確認しておきたい。
【書籍とYouTubeも注目】『LISTEN.』のQRコードと「山口智子の風穴!?」
LISTEN.の魅力は、横浜の上映施設だけにとどまらない。山口智子は、書籍やYouTubeなど、複数の媒体を通して世界の文化を発信している。
書籍『LISTEN.』はQRコードで音と映像を体験できる
2022年8月に刊行された書籍『LISTEN.』は、10年間にわたる世界の旅と音楽映像の記録をまとめた一冊だ。
発行元は生きのびるブックス。単なる旅行エッセイや写真集ではなく、QRコードを読み取ることで実際の演奏映像や音楽を体験できる仕組みが採用されている。
主な書籍情報は次のとおり。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | LISTEN. |
| 刊行 | 2022年8月 |
| 出版社 | 生きのびるブックス |
| 判型 | A5判変形 |
| ページ数 | 636ページ |
| 仕様 | オールカラー |
| 内容 | 世界約26カ国の音楽文化・旅の記録 |
| 特徴 | 二次元コードから音楽・映像を体験できる |
本書の大きな特徴は、写真を眺めるだけで終わらないことだ。
例えば、ある地域の音楽家の写真を見ながらQRコードを読み取れば、その演奏を映像と音で楽しめる。文字や写真だけでは伝わりにくい声の質感、楽器の響き、演奏する人の表情まで受け取れる。
紙の書籍とデジタル映像を組み合わせた構成は、LISTEN.の理念とも一致している。読者が自分のペースで世界の音に耳を傾けられる、持ち運べる音楽文化ライブラリーといえる。
「山口智子の風穴!?」とは?LISTEN.との違い
もう一つ注目したいのが、山口智子の公式YouTubeチャンネル『山口智子の風穴!?』だ。
2026年1月1日には所属事務所のアオイコーポレーションが公式チャンネルを紹介し、その活動内容を「大人になってからの学び」をテーマにした旅の映像ダイアリーとして説明している。
国内外のさまざまな土地を訪れ、見慣れた景色に隠れた歴史や文化、自然の魅力を再発見することが中心だ。
チャンネル名の「風穴」には、日々の生活のなかで淀んだ気持ちに新しい風を送り込み、未来へのきっかけを生み出すという意味が込められている。
2026年秋には島根県の隠岐を巡るシリーズも公開されており、神社や歴史的な場所、縄文文化に関係する黒曜石などをテーマにした旅が展開されている。
LISTEN.と風穴!?は同じプロジェクトなのか?
ここは混同しやすいポイントだ。
両者は山口智子の旅や文化への関心を共有しているが、同一のコンテンツではない。
| 比較項目 | LISTEN. | 山口智子の風穴!? |
|---|---|---|
| 主な目的 | 世界の音楽文化の映像記録 | 国内外の文化や歴史の再発見 |
| 中心テーマ | 音楽・民族文化・伝統 | 大人の学び・旅・歴史・自然 |
| 主な媒体 | 映像ライブラリー・書籍・上映作品 | YouTube |
| 活動の特徴 | 長期的な音楽文化アーカイブ | 旅を通した映像発信 |
| 山口智子の役割 | 企画・プロデュース | 旅の案内・出演・発信 |
LISTEN.が音楽を軸に世界の文化を記録する活動であるのに対し、風穴!?は旅を通して幅広い知識や発見を届ける活動だ。
両者を合わせて見ると、山口智子が一貫して大切にしている「自分の感覚で世界を知る」という姿勢が見えてくる。
どんな人におすすめ?体験方法を選ぶポイント
LISTEN.に興味を持った人は、目的に合わせて接点を選ぶと楽しみやすい。
- 音楽や映像を身体的に楽しみたい人: THE MOVEUM YOKOHAMAでWHITE NIGHTを鑑賞。
- じっくり写真や背景を読みたい人: 書籍『LISTEN.』を読む。
- 世界各地の文化や歴史を幅広く知りたい人: 『山口智子の風穴!?』を視聴。
- 民族音楽や文化の継承に関心がある人: LISTEN.の映像ライブラリーや関連資料をたどる。
反対に、音楽の解説や歴史的な情報を短時間で大量に知りたい人にとっては、LISTEN.の鑑賞スタイルは少し異なるかもしれない。説明よりも音や映像から感じ取ることを重視した作品だからだ。
【よくある質問】山口智子のLISTEN.に関するFAQ
Q1:山口智子のLISTEN.はいつから始まったプロジェクトですか?
A1:2010年に始まりました。約10年間で世界約26カ国を巡り、250曲を超える音楽と31の短編エピソードを映像に収録しています。
Q2:2026年の新作「WHITE NIGHT 白夜」はどこで見られますか?
A2:神奈川県横浜市の山下ふ頭4号上屋にある「THE MOVEUM YOKOHAMA by TOYOTA GROUP」のSTUDIOで、2026年10月24日から上映されています。1回約20分の作品です。
Q3:書籍『LISTEN.』は普通の写真集ですか?
A3:写真や文章だけでなく、各所に掲載されたQRコードから音楽や演奏映像を体験できるオールカラー636ページの書籍です。2022年8月に生きのびるブックスから刊行されました。
Q4:山口智子の風穴!?とLISTEN.は同じ活動ですか?
A4:別のコンテンツです。LISTEN.は世界の音楽文化を映像記録するプロジェクトで、風穴!?は国内外の旅や文化、歴史などを紹介するYouTubeチャンネルです。
まとめ:【プロの結論】LISTEN.が未来に残そうとしているもの
山口智子の「LISTEN.」は、世界約26カ国を巡り、音楽を通して人々の暮らしや歴史、自然との関係を記録してきた長期的な文化プロジェクトだ。
2010年の始動から、2022年の書籍刊行、2023年の兼高かおる賞受賞、2025年のブダペストでの展示、そして2026年の「WHITE NIGHT 白夜」へと、その活動は着実に広がっている。
2026年10月24日に始まった横浜での新作上映は、過去10年間に蓄積した音楽映像を、没入型アートとして体験できる新しい機会だ。北極圏のイヌイット、ラップランドのサーミ、アイスランドやスウェーデンの音楽文化に触れられる点が大きな見どころとなる。
プロの視点から特に注目したいのは、LISTEN.が「文化を紹介する活動」から「文化を未来に継承する活動」へと発展していることだ。
音楽は、言葉や国境を越えて人と人を結びつける。山口智子が残そうとしているのは、単に美しい演奏の記録ではない。その音楽が生まれた土地の記憶であり、そこで生きる人々の誇りであり、次の世代へ伝えたい地球の文化そのものだ。
横浜でWHITE NIGHTを体験する人も、書籍のQRコードから音楽を聴く人も、YouTubeで旅の記録を見る人も、入口は違っても同じテーマに触れることになる。
それは、情報を知るだけで終わらず、世界に耳を傾け、自分自身の感覚で文化を受け止めること。2026年のLISTEN.は、その原点を新しい映像体験として届けている。
今後も上映作品や展示の展開、世界各地の音楽文化を伝える新たな取り組みに注目したい。
主な参照資料:THE LISTEN PROJECT公式サイト、トヨタ自動車公式発表、THE MOVEUM YOKOHAMA公式上映・チケット案内、日本赤十字社「赤十字NEWS」2026年9月号、一般社団法人日本旅行作家協会、アオイコーポレーション公式サイト。 (出典: listen 山口 智子(Yahoo!ニュース))